川連漆器沈金体験会に行ってきました

ちょっとミニ四駆と関係ない話するけどいい?

先日、2月15日に川連(かわつら)漆器体験会に参加してきました。場所は湯沢市川連漆器伝統工芸館という施設です。地元ながらまったくいったことのない施設についに踏み込んできました。

 

体験会は通常一人2,750円(コースター込み)要予約でいつでも参加できます。が、これは参加人数が数人いた場合の料金です。

体験会には参加者が最低3人は必要なようです。その人数に達しない場合、一人あたりの料金は割増しになってしまうということでした。

というのも無地のコースターを普通に買っても2000円ぐらいしますので、体験料から差し引くと教えてくれた伝統工芸士さんに支払われる分がほぼなくなってしまうからということでした。そりゃそうだ。仮に一人で参加すると体験料が7000円ぐらいかかってしまうそうです。

さすがにベアガイの知り合いにあたっても、伝統工芸の体験会に一緒に参加してくれるような珍妙な仲間はちょっと見当たりません。なかば7000円払うつもりでいました。

ところがだ。

毎月15日は定期体験会が開催されるため、一人でいってもお値段すえおき(2,750円)で参加できるということでした。2月15日は土曜日で休みだったため、グッドタイミングと思い参加してきました。

沈金カンナ

体験会は沈金(ちんきん)と蒔絵(まきえ)の2種類から選べますが、毎月15日の定期体験会は沈金のみということでした。

沈金には沈金カンナという川連漆器独特の道具が使用されます。この道具を使うことで従来の沈金ではできなかった浅彫りが可能になったらしいです。従来といっても数百年さかのぼるんですけど…。

この沈金カンナを漆器にあてて、自分のほうに引きながら線を彫っていきます。

使うのは曲がった先端部分ではなく、曲がり始めるあたりの刃です。

写真の右のかたちで持った場合は刃先が漆器にあたりちゃんと彫れるのですが、左のように持った場合は刃が上を向くため逆の部分では彫ることができません。これがベアガイにとって大誤算でした。

ベアガイは左利きのため左のように持たなければカンナの刃と漆器が触れる部分が見えません。しかし漆器を彫るには右のように待たなければならないのです。しかたなく左手で右のように持つという型破りなやりかたで挑戦しました。

体験会ではいきなり漆器に彫り始めるのではなく、最初に練習用の板に基本的な線を彫るところからスタートします。ベアガイは変な持ち方を強いられているため通常より多く線を引く練習をしました。

ある程度線が引けるようになったところで、本番と同じ絵柄を練習用の板に彫ってみます。ここでベアガイが川連漆器沈金体験会に行く気になった理由がはっきりします。

絵柄は自由!

通常は体験会のほうで初心者のレベルにあった下絵を用意してくれますが、「彫りたい絵柄をもってきてもいいよ。」ということでしたのでスプラトゥーン2にでてくるクマサン商会のロゴマークを用意しました。

沈金体験用のコースターは4種類ぐらいあり、だいたい10cm×10cmに収まる絵ならどれにも彫ることは可能です。この際、白と黒がはっきりわかれた絵柄、主線がしっかりした絵柄を選んだほうがいいみたいです。そして一番重要なのが自分にできそうな難易度のものを選ぶということです。これは上記の沈金カンナという難易度の高い道具を使用するということを十分に考慮しなければなりません。

つまり最初からクマサン商会のロゴを選ぶとえらい目にあう。

この下絵をカーボン紙で練習用の板に転写してひたすら彫っていきます。昔ながらの方法では薄い和紙に図柄をかいて、黄色い粉をつけて転写する方法もあるそうです。

伝統工芸士さんと話しながら作業したのですが、最初はミッフィーとか自動車メーカーのロゴとかシンプルなとこから始めたほうがよかったみたいです。タミヤのロゴとかいいかもしれませんね。この点に関しては、川連漆器の沈金はアウトラインがはっきり出るため、イラストチックな表現には向いているみたいです。

ここまで練習。この作業が一番時間がかかった…

本番

ここからが本番なのですが、本番は練習ほど時間がかかりませんでした。

すでに1回彫っているというだけでなく、本番用の漆器はうるしの質がいいため練習用の板より格段に彫りやすいのです。安物の漆器だとカンナの滑りが悪く、うるしも薄いため場合によってはうるしそのものがはがれてくることもあるそうです。

次は彫った漆器に一旦うるしをぬります。人によってはかぶれるそうで、念のためすぐに手を洗いにいきました。

このうるしは接着剤の役目だそうです。ここに金粉をつけていきます。今回は金色でしたが、銀や赤などもあるそうです。

金粉をつけたものがこちら。綿のようなものでまんべんなくつけたあと、ふき取ることで彫った場所にだけ金粉がのこります。これで完成とおもいきや、完全な定着には1週間ぐらいの乾燥が必要ということでした。

そして1週間、完成したものがこちらです。

近くでみるとけっこう粗いですが、初心者にしては頑張ったほうだと思います。伝統工芸品にゲームのモチーフを彫りこむという暴挙をなしとげました。達成感がすごい。

この体験会では、漆器はアイディアしだいで最新のものや洋風なものともマッチできるんじゃないかという可能性を感じました。まさに温故知新です。

伝統工芸の即売会にいっても若い人や子供が欲しくなるようなデザインは普通売ってませんからね。つまりなければ自分でつくればいいってことでしょう。

興味のある人は、この体験会に参加して自分だけの漆器を作ってみるのはいかがでしょうか。

体験会は通常1時間から2時間程度をみこんでいるそうです。しかしベアガイはこれを作るのに4時間居座りました。この間付きっ切りで教えてくれた伝統工芸士さんには感謝しています。7000円払ってもよかったかもしれない…